『集客』-事業を行う人たちにとって、永遠のテーマではないでしょうか。

いかに継続的に集客をし続ける事が出来るか・・・。

明日からの集客に困らない、予約が2ヵ月、3ヵ月先まで埋まるような仕組みを作れるか、が事業継続の大きなカギとなることは誰もが想像できる事ですが、なかなかうまくいかなくて悩んでいる事業者が多いのが現実です。

この『集客』についてウェブやITの側面から考えていきます。

お客様の気持ちと決心するまでのプロセス

集客とは、あなた(お店や製品、あなた自身)を選んでくれる人をたくさん集めるという事です。 ここではお客様があなたを選ぶ(決心する)までのプロセスについて見ていきます。

常に比較されている!

お客様を取り巻く環境は情報過多になっています。Webで検索すれば様々な情報が入手でき、InstagramやFacebook、TwitterなどのSNSでは正直なクチコミをいとも簡単に得る事が出来ます。しかもこのような環境になってから既に何年も経っており、お客様の情報を取捨選択する能力は高くなってきています。

何かが欲しい、どこかへ行きたいと思った時、多くのお客様は目的のものを探して、概要や詳細の情報を収集して、さらに比較をするという行動をとっています。

事業者としては、比較される事を念頭に置いて、ホームページやSNSでの情報発信をしていかなければなりません。

潜在顧客と顕在顧客

次にお客様がモノやサービスを選ぶ際の気持ちの変化に注目してみましょう。お客様には大きく分けて二つの状態があります。『潜在顧客』と『顕在顧客』です。この二つの違いについて見ていきましょう。
『潜在顧客』とは、まだ必要性を実感していない未来のお客様です。そのため、明確に欲しいもの、必要なモノが頭の中には無い状態です。
『顕在顧客』とは、いま欲しいもの、必要なものがあるお客様です。どんな困りごと(課題)を解決して欲しいのか、何が必要なのかが明確な状態です。
集客をする際には、これらのどちらに向けて行うかで、対策が違う事に注意する必要があります。

マーケティング視点で見た消費者の購買行動モデル

お客さんの気持ちの変化や行動がわかったところで、これらのまとめとしてマーケティングの視点から、見てみましょう。有名なのが、広告会社である電通によって提唱されたモデルであるAISAS(アイサス)です。これは5段階のプロセスによって構成されおり、それぞれの行動の頭文字をとってAISASとしています。

A・・・認知・注意(Attention)
I・・・興味・関心(Interest)
S・・・検索・比較(Search)
A・・・行動(Action)
S・・・共有(Share)

さて、このAISASですが、実際にはどんなシーンに当てはまるのでしょうか。ここでは最近カラダがだるい事が気になるC子さんの行動で見ていきましょう。

最近体調不良に悩まされているC子さんはある広告を見ました。(Attention)
「自分にあてはまるわ!」と思ったC子さん。(Interest)
でも、これって本当かしら??と疑問も感じたので、さっそくウェブで検索してホームページや口コミで情報収集を始めました。(Search)
いろいろ調べた結果、自分の症状にもマッチするし、ホームページの情報も豊富で親切な作りである事、そしてウェブやSNSでの口コミも悪くない事を知って、この広告主である『オーダーメードインソール』のお店へと向かったのです。お店で話を聞いてとても気に入ったC子さんは早速インソールを発注しました。(Action)
オーダーメードインソールを使い始めてから、腰痛も足のむくみも消えたC子さんは、この気持ちを誰かに伝えたくなり、また同じ悩みの人へも教えてあげたくなりました。早速C子さんはSNSでひと通りのいきさつとこのお店を紹介したのでした。(Share)

いかがでしょうか、自分にあてはめてみても納得のいく事が多いと思いませんか?頻度の差はありますが一般的にこのような行動をとって購買に至る人が多いのです。さらにこの例では、C子さんが初めからオーダーメードインソールを名指しで探したわけでもなく、すぐに購入という行動をしていない事にも注目してください。C子さんはたまたま広告を目にして「この症状は自分にあてはまるわ!」と思っています。そうです、C子さんは潜在顧客だったともいえるわけです。

お客様の状態を意識した集客方法が重要

ここまでで、お客様の状態や気持ちの変化についてお伝えしてきました。お客様の状態や気持ちの変化は、集客を行う際にどんな集客方法を取ったらいいか、どんなツールを使ったらいいかを決める上でとても重要です。以下ではウェブやITの側面から、事業者側で持つ事が出来る集客ツールがどのようなお客様の状態に適しているかをまとめてみました。

ホームページ

事業者であれば、まずは持っておきましょう。今となっては名刺代わりの役目も担う存在となっています。顧客が自身の判断を裏付けるために、または信用信頼を確定したいためにアクセスされることも多いです。

適したお客さんの状態:AISASのどのシーンでも使われます。

活用パターン1 潜在顧客向けとして、SNS広告やディスプレイ広告からホームページへ誘導します。最近は商品購入や申込を促すことに特化した「ランディングページ」という1ページだけのホームページの活用が急速に広まっています。『今すぐ購入』等のボタンがあり、TVショッピングの内容をホームページに落とし込んだような作りが多いです。

活用パターン2 顕在顧客向けとして、リスティング広告やSEO対策からホームページへ誘導します。

活用パターン3 人材募集用として、リスティング広告や人材募集サイトからホームページへ誘導します。簡易ホームページでは決まったフォームでの情報公開のため、特別な特長を伝えるのは難しいですが、自社ホームページであれば特長はもちろん事業や商品にかける想いや仕事仲間を自由に公開できます。

ホームページはあるだけでは意味がありません。まずは見てもらう工夫をすることです。   時代によって流行りのデザイン(SEO対策的に有効なものも含む)があるので見た目だけに満足せず、ホームページとしての役割が果たせる作りになっているかに注意しましょう。月1回程度は少なくとも更新しましょう。作って終わりではなく、作ってからが始まりです。

SNS

国内でもユーザ数が日々増えている事で、個人事業主から大企業までSNSをつかったイメージ戦略や集客が一般的になりました。最近ではInstagramが急激に伸びています。通常の投稿だけではなく、SNS広告を使う事業者も増えてきています。またYouTubeだけではなく、FacebookやInstagramでも動画広告が急増中です。

適したお客さんの状態:潜在顧客向きで、AISASでは認知・注意(Attention)と興味・関心(Interest)のシーンで用いると効果的です。既存顧客(特にロイヤルカスタマー)向けとしては共有(Share)のシーンで活用してもらえます。

活用パターン1 潜在顧客向けにSNS広告を配信するところから始まります。広告からホームページや「ランディングページ」に誘導したあとに、販売、予約、メールや電話などの情報入手につなげます。

活用パターン2 既存顧客が自身のアカウントで共有(Share)するところから始まります。いいね!で拡散していき、他の潜在顧客の認知・注意(Attention)と興味・関心(Interest)につながります。

活用パターン3 Facebookのグループなどでコミュニティを作り、ロイヤルカスタマー等と事業者同士が情報交換・共有する場としています。

注意点:SNSではあからさまな広告宣伝、売込みは好まれない傾向にあります。投稿記事などでは売込みではなく、知って得する内容やイベント準備の報告など売込み要素を減らす工夫が必要です。フォロワーが多ければ、アンケート等を行い、商品やサービスに結果を反映するのも面白い使い方です。各SNSの特徴に合わせた使い方をしましょう。

広告サイト・クーポンサイト

ユーザーとしても利用された方は多いかと思います。店舗事業者においては創業時の集客で活用された方が多いかと思います。クーポン利用で正規価格よりも割引してサービスを利用でき、日本では一定の利用者数がいます。予約システムも工夫されていて使いやすいサイトがあります。業種に適したサイトを選んで登録することが重要です。どのような時にコストが発生するかを把握し、費用対効果があがる活用をしましょう。まだ十分な顧客を獲得できていない創業当初と、ある程度顧客獲得できてからの段階では活用の仕方も変わってきます。

適したお客さんの状態:顕在顧客向きで、AISASでは検索・比較(Search)と行動(Action)のシーンで用います。新規顧客をいかにリピートさせるかの追加施策が必要です。

活用パターン1 選ばれるための施策が必要です。戦略的に広告費用を投入することで、競合よりも有利に露出します。割引率を大きくしてお得感をアピールします。画像や動画やテキストを工夫して目立つようにします。とにかく競合よりも選んでもらう施策をしましょう。

活用パターン2 新規顧客を獲得したら、リピートしていただくための施策をしましょう。公式ホームページやメール、メッセージツール(LINEやチャット)からの予約に切り替える施策を行い、コスト改善をしていきましょう。

活用パターン3 Googleビジネスプロフィールで地図検索に露出するように運用して、広告費用ゼロを目指しましょう。

ECポータルサイト・独自ECサイト

amazonや楽天など、ECポータルサイトをユーザーとしても利用された方は多いかと思います。独自でECサイトを運営しインターネットで物販を行っている事業者も増えています。ECポータルサイトへの出品するのは、デパートやコンビニに商品を陳列させていただくようなものと例えられます。独自ECサイトはインターネット上にご自身のお店を構えるようなものと例えられます。いずれのサイトで販売を行うにあたり、初期費用や運用費用が必要となります。どのような時にコストが発生するかを把握し、費用対効果があがる活用をしましょう。

適したお客さんの状態:顕在顧客向きで、AISASでは検索・比較(Search)と行動(Action)のシーンで用います。地理的要因がなくなるので、全国が顧客候補となります。

活用パターン1 ECポータルサイトでは選ばれるための施策が必要です。戦略的に広告費用を投入することで、競合よりも有利に露出します。割引率を大きくしてお得感をアピールします。画像や動画やテキストを工夫して目立つようにします。とにかく競合よりも選んでもらう施策をしましょう。

活用パターン2 独自ECサイトは、知ってもらうための施策が必要です。ご自身のホームページに商品販売ページを設置しネット購入&決済機能を付加します。ページのSEOを高めたり、他のメディアからリンクして販売ページへ顧客を誘導します。

スマホアプリ(お店や企業の公式アプリ)

ファーストフードやコンビニ、大手企業などでのアプリ活用が急増中です。最近では比較的リーズナブルに公式アプリを持てるようになってきていますが、中小企業や個人店舗ではまだ参入者が少ないため、今から活用すればライバルに差をつける事が出来ます。スマートフォンの利用率の上昇と共に、ますます一般化していくことが予想されますが、自社で保有するメディア「オウンドメディア」用や顧客管理用のツールとしての活用が今後増えてくると思われます。「オウンドメディア」の代表としては、自社ドメインのホームページやブログ、スマホのホーム画面にオリジナルアイコンが表示される公式アプリがあげられます。

適したお客さんの状態:既存顧客向けで、特にリピート集客を強化するのに活用すると高い効果が期待できます。

活用パターン1 スタンプ機能やクーポン機能を使ったリピート促進から、常連客を醸成します。

活用パターン2 顧客管理機能を使い、特定のお客さんへプッシュ通知による個別メッセージを送ります。例えば、9月生まれの30代女性のお客様向けに、女性限定商品の割引クーポンを、誕生日特典として、誕生日前月に自動的に贈る、といったこ運用をしています。届けたい情報を届けたい方に届けたい時にご提供することができます。

活用パターン3 ブログとしてお役立ち情報を発信します。アプリ以外では得られないようなコアな情報やお得な情報などが向いています。

活用パターン4 開封率が高いプッシュ通知を効果的に活用して、直前や当日の突発的な状況連絡に便利に利用されています。例えば、雨の日サービスや予約キャンセルに伴うスケジュール穴埋めの連絡用として利用されています。

活用パターン5 ファン育成ツールとして活用されています。スマホのホーム画面に表示されるアイコンにオリジナルデザインが使えるアプリ限定ですが、スマホ画面に常に企業やお店のロゴがある事でザイオンス効果(単純接触効果)により、企業やお店への愛着が深まります。

注意点:ホームページやSNSよりも、さらにお客さんに近いツールであるため、プッシュ通知を送る時間や頻度に注意するなどの配慮が重要です。スタンプ機能を上手に活用して、非通知設定やアプリ削除とならないような工夫を心がける必要があります。

リピート集客の強化が集客力アップとコストダウンにつながる

ここでは、リピート集約と集客コストについて考えていきます。みなさんは、新規集客とリピート集客のどちらの集客施策の方が手間とコストをかける傾向にあると思いますか?

答えは新規集客です。新規集客はお客様があなたの企業やお店の存在すら知らない状態で行います。ましてやお客様は必要性を全く感じていない状態も想定します。この状態から、AISASの認知・注意(Attention)、興味・関心(Interest)、検索・比較(Search)、行動(Action)まで進めなくてはならないわけです。

ではリピート集客はどうでしょうか?リピート集客は一度でも購入したり、来店したりしたお客様を対象とする施策なので、新規集客で必要なステップを省く事ができます。アプリやメール登録をしてもらっていれば、直接連絡する事もできます。

さらにリピート集客にを強化するメリットは、売上の予測が立ちやすい状況を強化するという点です。定期的に通ってくれるお客様であれば予測が立ちやすいし、次回の予約をしてもらう仕組みを導入していれば、さらに正確な予測ができます。またリピートをするお客様は良い口コミを広げてくれるという効果も期待できます。

こちらの図はかなり極端な例ですが、毎月200人のお客様が必要だと仮定し、新規のお客様の10%が毎月リピートしてくれているという条件でグラフにしたものです。毎月のリピート集客を強化する事で、新規集客の必要が減っていくのが分かります。売り上げの予測が高くなることに加えて、新規集客にかけている広告・宣伝費用の削減の裏付けになります。では、リピート客を増やすためにはどうしたらいいのか?ここでは集客方法という観点からまずは2つの方法をご紹介します。

リピート集客の仕組みを作ること

アプリやSNS、メールなどを総合的に活用した仕組みづくりが重要です。

新規集客する際にリピートしてくれるお客様へ向けて集客をすること

リピート集客は新規集客をする時から始まっています。どんな人たちに向けて新規集客を行っているのかに注意してください。例えば、初回割引クーポンや価格で決める方に向けて集客していたらどうでしょうか? 初回割引が好きな方にはリピートしてもらいにくいですし、価格で決める方はもっと安いところがあったらそちらへ行ってしまいます。お客様に選んでもらう際に、『何で選んでもらうか』という事を考えて新規集客の仕組みから考えていく必要があるのです。集客とは、あなた(お店や製品、あなた自身)を選んでくれる人をたくさん集めるという事を忘れないようにしましょう。そしてこの考え方は『顧客単価を上げる』という事にもつながります。

まとめ

集客について、お客様の気持ちの変化から行動プロセス、その行動プロセスに適したウェブやITを使った集客方法について、重要で効果的な事に絞ってお伝えいたしました。WEBサイト、SNS、スマホアプリなどはあれば良いというものではなく、検証を繰り返しながら継続的に使用する事が必要なツールです。うまく使えば集客力を確実に強化してくれますが、放置していては逆に悪効果になってしまう場合もあります。賢く使って、広告宣伝だけに頼らないあなた独自の集客の仕組みを作りましょう。

投稿者紹介

長谷川 和也 Hasegawa Kazuya
職業gTOMO合同会社 代表
経歴静岡県静岡市出身 1965年5月生まれ
’88 千葉大学工学部電子工学科卒
’88~’95 株式会社明電舎
’95~’00 ネクストコム株式会社
’00~’17 EMCジャパン株式会社 脱サラ起業準備
’19 gTOMO合同会社設立 今に至る
大学専攻から現在まで一貫してコンピュータ・IT業です。
お仕事で
大切にしていること
地元と共に地元のために事業を行っている事業者様に、
デジタル化とオンライン化を安心安全を添えて支援します。
副代表の妻と共に、あたかもホテルのコンシェルジュのように
付き添って、皆様の事業のDX化を成功に導きます。
趣味旅行、低糖質飲食、トレンドチェック
活動拠点千葉県船橋市
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