起業時の資金調達を実現するためには「もの・サービス」「ヒト」「計画」が大事。その上で資金調達するため手段にはどんな手段があるでしょうか?しっかり学んでいきましょう。

起業って?

起業に必要なものってなに?

「起業・・」皆さんは起業に対してどんなイメージをお持ちですか?イメージとしては「起業家ってカッコイイ!」「起業してお金持ち!」「上場して港区のタワマンシに住む!」「起業に失敗して借金まみれ」「結局一文無し・・・」などいろいろなイメージをお持ちかと思います。

起業して10年生き残るのが1パーセント?とか言われる世界。でも、残りの99%すべてがツブれてしまっている訳ではありません。発展的に事業売却したり、合併してさらに大きな企業になったり。新たな起業で会社を作ったりと発展した上で次のステージに進んでいる人も多いのです。会社を継続的に維持し、次のステージに進むために大切なものが何か?その中でも「資金調達」を中心としてお話をしていきたいと思います。

3つの「モノ」

事業を行う上で主に3つの「モノ」が必要です。1つ目は「もの、サービス」です。事業を初めても販売する「もの」や「サービス」がなければ事業を行うことは出来ません。その「もの」や「サービス」を販売や提供をして初めてその対価となる「お金」を得ることができます。ですので、まずはその「もの」や「サービス」を販売する方法を真剣に考える必要があります。販売をする仕組みを作る行為を「マーケティング」と言い、販売する行為を「セールス」と言います。マーケティングやセールスは他の専門家の方が別途コラムを書かれているでしょうから別途参照いただくとして。まずは「売れ」る「もの」や「サービス」考える必要があります。

2つ目に必要なものは「ヒト」になります。まず起業の当初はすべて自分でこなしていくことが重要ですが業況が拡大するとすべて1人で賄うことは出来なくなります。そこでパートなどを雇い業務の一部を担ってもらいます。大きな仕事が任せられるようのフルタイムの社員も雇うことになり「組織」を作っていくことになります。人を雇うとその方の「生活への責任」を負うことになります。会社を継続できるようしっかり経営をしていかなくてはいけません。

3つ目は「カネ」です。「もの」や「サービス」を作る際には必ずそのための原資が必要です。その原資が「カネ」です。人を雇うためにも「カネ」が必要になります。この「カネ」は資金として調達しなければなりません。最初は自己資金で賄うことになりますが事業が大きくなると自己だけでは賄えなくなります。そのため外部から「融資」などで資金を調達してくる必要があります。 「もの」や「サービス」を作り「販売」する。そのためには「ヒト」が必要になってきます。その「もの」や「サービス」、「ヒト」を手に入れるためには「資金」が必要と言うことになってきます。この3つの「モノ」が有機的につながって初めて「起業」してからの「事業継続」が図れることになります。

経営計画を考える

前項では「もの・サービス」「ヒト」「もの」が必要だと書きました。いつまでに「もの・サービス」を用意し「ヒト」の採用し、必要な「資金」をどれだけ用意することを考えていけばよいのでしょうか?

これらの3つの「モノ」は三位一体で有機的に関わり続けます。そのためには「計画的」に事業の経営および運営をしていかなければなりません。そのためには「経営計画をたてる」ことが非常に重要になります。経営計画はぜひ起業前に用意しましょう。

「経営計画」に記載していく項目ですが、以下の事項は最低限用意するようにしてください。

  1. 「事業の概要(=なにをやるのか)」
  2. 「事業を行う動機」
  3. 「その事業の成功の確信(=差別化のポイント、市場での優位性など)」
  4. 「売り上げを上げるために何をしていくか」
  5. 「組織をどう作っていくか(=どういう仲間とやっていくのか)」
  6. 「収支計画」
  7. 「資金調達とその資金使途」
  8. 「経営者のプロフィール」
  9. 「売り上げを上げるためのアクションプラン」

以上の事項をベースに、「文章」ベースの計画書と、36カ月~60か月分のエクセルなどで立てた「収支および資金繰り」の計画を用意していきます。

このような計画書があって、ようやく資金調達を行うことができる。融資であれば銀行が、補助金などであれば国や地方自治体がお金を用意してくれるのです。「綿密」に準備をおこない「緻密」な経営計画を立てることで「資金」という経営のためのリソースをようやく調達することができるのです。

資金調達の種類~融資か補助金か

創業の相談にのっていると、「お金を借りるのはイヤなので、補助金だけ案内してください」と言われることがあります。確かに・・お気持ちはわかります。その方に「それでは、十分な自己資金は用意されていますよね?」と問い返すと「お金はありません」という返答が戻ってきます。やれやれ。ということで補助金や融資の仕組みをココではご紹介していきたいと思います。

融資

いわゆる借りてくるお金。銀行や政府が運営している日本政策金融公庫などが創業に関する融資を用意している。経営計画やその事業を「遂行する能力」があることをきちんと示すことが必要。申し込みから約1か月で融資による資金は用意される。審査があるので誰でもが利用できるわけではない。

補助金・助成金

国や地方自治体がおもに中小事業主を支援するために用意している制度。補助金なので「返済」を行う必要はない。ほとんどの補助金や助成金は国や地方自治体に「計画」を提出をし「採択」を受け、その「計画通り」に「使った」後にその3割~8割くらいや決められた定額が戻るものがほとんど。つまり、補助金や助成金は後から入ってくるということになる。


融資と補助金の違いをここまで見て気づいた方も多いでしょう。補助金か助成金か?という話では実は・・ないのです。自己資金が十分にないのであれば融資で先に資金調達を行いその後利用できる補助金を探して利用するが大事。つまり、両方を利用することを視野に入れましょう。

公的融資をまず活用しよう~保証協会と金融公庫

起業時に利用できる公的融資には「2種類」あります。それぞれ紹介していきましょう。

A.日本政策金融公庫

政府100パーセント出資の政策金融機関で、創業時や中小事業主への貸し出しをもっぱらの専門に行う機関。通常「起業」というとこの金融機関からの借り入れを思い浮かぶ方が多いかと思われる。「国金」から借りるというとこの金融機関の借り入れとなる。(旧名が国民金融公庫と言います)

B.保証協会の保証を受けた銀行や金融機関からの融資

〇〇市の創業融資、〇〇県の開業融資などはすべてこちらの制度。〇〇市の融資も、〇〇県の融資も直接地方公共団体が融資をするわけではなく、地方公共団体は金利などを補助する形で創業者が起業時に融資を受けやすいようにサポートする。各都道府県にある半官半民の「信用保証協会」という団体が事業主に対し「保証人になる」ことで銀行融資をうけることがスムーズとなる。


A Bはどちらがよいのでしょうか?という質問をうけることがあります、金利はA Bともほぼ同じくらいに設定されています。審査の難易度もそれほど変わりません。私がサポートする場合には、「経営計画を立てて」から業種・業態で使いやすい方を選ぶ、時には両方を使うという利用方法をお勧めしています。

経済産業省補助金と厚労省助成金

創業時、起業に際し利用していきたい補助金・助成金を2つほどご紹介します。

小規模事業者持続化補助金(経済産業省)

販路拡大(広告宣伝など)をしたうえで設備投資に対し、50万円~200万円まで利用できる補助金です。補助率は基本は2/3。年に3回~4回募集があり、管轄の商工会議所・商工会に計画を確認してもらったうえで(必ずしも商工会議所がお手伝いしてくれるわけではない)事業計画を提出。約6割が採択(合格のこと)されます。その後計画通りに施策を行い報告書を提出したうえで補助金の支給申請(お金を清算してくださいという申請)を行う。特定創業支援事業を受けた場合には最大200万円となる。

キャリアアップ助成金(厚生労働省)

最終的にはフルタイムの社員を採用したい!という場合に利用できる助成金。最初の採用をまずは非正規(契約社員など)で行いその後6か月後以降に正社員に転換することで採用から1年後以降に1人当たり57万円の助成金が利用できる。1人目の採用の前にしっかり雇用管理を行うための準備を行うことでこの助成金は利用可能。


助成金や補助金は3000種類あるよ!と案内しているセミナーもありますが、実は利用しやすいものはそんなに種類はないのです。また、地方自治体が独自に用意するものもあるので、地元の自治体のホームページを随時チェックしていくことも必要な作業です。(販路拡大系の助成金が多いです)

まとめ~計画を立てたうえで資金調達を考える

起業の際の資金調達に必要な事項は大体理解できましたでしょうか?ここで簡単にまとめていきましょう

起業して事業を行うために必要なものは。販売や提供する「もの・サービス」と「ヒト」になります。それを調達や活用するためには「カネ」が必要です。「カネ」を調達することを。「資金調達」と言います。「資金調達」を実現するために必要なのが「経営計画」になります。この経営計画に沿って経営や事業運営を進めていく、また進められることが確実になった際に「融資」や「補助金」が利用できます。

「もの・サービス」「ヒト」「カネ」を見据えたうえで「計画」を立案し10年後も生き残っていくための「事業」の継続を実現したいものです。ぜひ頑張ってください!

投稿者紹介

中島啓吾
中島 啓吾 Nakajima Keigo
職業特定社会保険労務士 経営革新等支援機関 首里社会保険労務士法人
経歴1973年東京生まれ 桐蔭学園高校卒業、横浜国立大学経営学部卒
1997年NTT入社 マルチメディアビジネス開発部でポータルサイトgooの
企画運営に加わる。
野村総合研究所、サンマークライフクリエーション(現サンマリエ)、
フラクタリスト(現ユナイテッド)を経て、経営コンサルタントとして独立。
三軒茶屋にて沖縄料理「古都首里」を経営する傍ら、サービス開発、
営業組織作りの経営コンサルティングを行う。
2014年社会保険労務士登録。
一般社団法人テレコムサービス協会サービス倫理委員会副委員長などを歴任。
保有資格は、上級個人情報管理士、年金アドバイサー3級、
メンタルヘルスケアマネジメント検定Ⅱ種(ラインケア)など。
お仕事で
大切にしていること
1人1人のお客様に正面から向き合って全力を尽くすこと。
趣味格闘技観戦と鉄道系交通オタクです
活動拠点東京・沖縄
好きな言葉求めよ、さらば与えられん。
探せよ、さらば見つからん。
叩けよ、さらば開かれん。 (マタイの福音書より)
特技・強み探し中
血液型B型
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